ニュージーランド在住20年のあどぼうずです。
高校2年生になった長男が去年ごろからお酒を飲むようになりまして、親としてはまた心配ごとが増えました。
今回はニュージーランドの未成年の飲酒事情についてのお話です。
みなさんのニュージーランドに留学中のお子さんも、お酒が出る誕生日会に呼ばれることがあるかもしれません。また、これからニュージーランド国内で、未成年者の日本人留学生の後見人なる方も、参考にお読みいただければ嬉しいです。
ニュージーランド未成年者の飲酒法
ニュージーランドの未成年者の飲酒に関しては、ニュージーランドの法律(New Zealand Legislation」の中の「アルコール販売と供給に関する法律2012」(Sale and Supply of Alcohol Act 2012」)で定められています。
お酒の購入は18歳以上
ニュージーランドでは18歳未満の未成年者は、お酒を買えません。反対に18歳ならお酒を買えるということです。ニュージーランドの高校3年生のなかには、18歳になっている子もいます。
日本のように、お酒の自動販売機はありません。お酒はすべてアルコール販売許可を持っている店頭で購入しなければならないのです。
ID(身分証明書)の提示
18歳以上でも、18歳以上に見えない人は、店頭で身分証明書の提示を求められることがあります。
30歳でも童顔だったら、身分証明書を見せなければならないわけね…
未成年者へのお酒販売の禁止
上記の「アルコール販売と供給に関する法律2012」の中で、未成年者へのお酒の提供を禁止しています。
未成年者にお酒を供給するのは犯罪です。241項-(1)
(A person who supplies alcohol to a minor commits an offence.)
- ニュージーランドドルで上限10,000ドルの罰金
- 上限7日間の営業停止
ここでポイントなのは、これは未成年者へのお酒の「販売」についての法律です。「飲酒年齢」には触れられていません。
「18歳でお酒を買える=18歳から飲酒OK」ということになります。
飲酒年齢の基本は18歳以上…だけど…
基本的にニュージーランドでは、未成年者へのお酒の提供をすることはできません。しかし、親や後見人なら、未成年者にもお酒を提供できるのです。
これは未成年者の飲酒を禁止しいているだけの日本の未成年飲酒禁止法とは、大きく違う点ですね。
ニュージーランドでは、親が許可すれば「飲酒年齢制限はない」ということです。
たいていニュージーランドの子は、14,15歳ころからお酒デビューをしているね。
未成年者に提供できるのは親か後見人
未成年者にお酒を提供者できるのは、親か法的後見人(ガーディアン)だけです。
わたしが家族で、レストランに食事に行くとします。16歳の未成年者の長男に、わたしがビール1グラス注文してあげるというのは、まったく違法ではありません。
親か後見人に許可をもらった第三者の大人
または、18歳未満の子供の親あるいは後見人に許可をもらった大人は、未成年者にもお酒を提供することができます。
16歳の未成年者の長男が友達の誕生日会に呼ばれたとします。わたしがその友達の親に許可をだけば、長男も出されたお酒を飲むことができます。
お酒の提供者の責任は重大
親として後見人として、未成年者にお酒を提供することができます。ただしですね、提供者側の責任は重大なのです。
前述の「アルコール販売と供給に関する法律2012」241項にある一文です。
親または法定後見人は責任をもって、未成年者にお酒を提供しなければならない。
(a parent or guardian of the minor, and supplies the alcohol in a responsible manner.)
「責任のあるやり方でお酒を提供する」(supplies the alcohol in a responsible manner)という部分がくせもので、お酒を提供する親や後見人にとっては、とても責任重大なのです。
未成年者にお酒を提供する方法
前述の法律には、責任をもって未成年者にお酒を提供するためのアドバイスが詳しく書いてあります。
- 未成年者のお酒の摂取量を把握する。
- お酒と一緒に食事も提供する。
- 低アルコールやノンアルコールのお酒も用意しておく。
- お酒を提供する場所は適しているか。
- 安全な交通手段をとっているか。
- お酒を提供する時間帯を考慮する。
- 未成年者の年齢を考慮する。
- アルコールの度数を把握しておく。
ニュージーランドは車社会
ニュージーランドでは、16歳から運転免許が取れます。つまり、高校生の誕生日会などを開くと、車で来る友達もいるわけです。
誕生日会のあと、車で来た未成年者が飲酒運転をして帰る途中で事故にあった場合、誰の責任になるでしょう。
はい、そうです。子供の誕生日会を開いてアルコールを提供した親の責任になるのです。
あーっ、もうなんだかいろいろ面倒くさいな…
親の本音:誕生日会なんて責任重大で開けない
責任を負ってまで、他人の子供の飲酒に責任を負いたくないというのが、多くのニュージーランドの親の本音です。
同じ未成年者の子供をもつお母さんと話しても「いや、誕生日会なんて面倒くさくて開けない」と言う人が多いです。
未成年者とはいえ高校生の誕生日会に「アルコール抜き」というのは、ありえません。悲しいかな、これがニュージーランドの現状です。
息子が14歳になってからは、息子の友達を呼んで誕生日をしていないよ…
それでも誕生日会を開く強者の親たち
ニュージーランドで未成年者の他人の子供にお酒を提供するのは、責任重大だということが分かってもらえたでしょうか。
しかし、面倒くさいと思う親が多いなか、お酒付きの誕生日会を開く強者の親たちもいるわけです。そんな親たちは、ニュージーランドでどうやって未成年者のお酒付き誕生日会を開いているのでしょうか。
わたしの息子が呼ばれたり、ママ友が開いた誕生日会の話をしていきます。
招待する未成年者の親に同意書をもらう
わたしのママ友がニュージーランドの警察に行って、実際にアドバイスを受けた方法です。
未成年者へのアルコール提供に関する「同意書」を2枚作り、招待した子供の親からサインをもらってくる。1枚は誕生日に呼ばれた子供の親が持ち、もう1枚は誕生日会主催者の親が持つ。
ひたすら料理を運び続ける
未成年者にお酒を提供をするためには、食事も一緒に提供しなければなりません。ママ友は、ひたすら料理を運び続け、招待した未成年者たちの飲酒状況を見守ったそうです。
招待された未成年者は自分の分のお酒を持っていく
招待された未成年者は自分の親にお酒を買ってもらい、誕生日会に持参することが多いです。これなら自分の子供の飲酒量を親が把握できるからです。
友達からお酒もらうなよー。
日本での飲酒年齢制限が18歳未満になる
日本でも、2022年4月から「未成年」の定義が「20歳未満」から「18歳未満」に改正されるのにともない飲酒禁止年齢も「18歳未満」に下がりますね。
18歳からは飲酒可能ということです。でも、これってどうなんでしょう。高校3年生の中には誕生日によって、17歳と18歳の生徒が混在しますよね。日本にはお酒の自動販売機もありますしね。
日本の未成年の飲酒についても、これからいろいろ物議を醸し出しそうですね。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。以上、ニュージーランドの未成年者の飲酒事情でした。