こんにちは、トモです。
前回、海外で日本語教師時代をしていたときに「もう来年は日本語の授業取るな」って男子生徒に言ったエピソードを紹介しました。
その男子生徒は、1年間まったく日本語を勉強する気なし。案の上、校内外の試験も不合格でした。
学年末に、「やる気なさそうだし、時間もったいないから、来年は他の選択科目を取ったほうがいい」とアドバイスし、翌年は日本語を取らないだろうなと思っていたら、その男子生徒、なんと日本語クラスに舞い戻ってきました。
1学年下の日本語クラスを再履修
前回のお話『海外で日本語教師をしていた時「もう来年日本語の授業取るな!」って生徒に言った話』でも書きましたが、その男子生徒は、前年高校1年生で日本語を取っていました。
校内外の試験も不合格だったので、翌年高校2年生になったその男子生徒は、高校2年レベルの日本語を受講できるはずもなく、高校1年生の日本語を再履修することになりました。
その年の日本語クラスはなぜか才女ばかり
学年では高校2年生の彼が、1学年下の1年生クラスの日本語を取ることになったわけですが、なぜかその年、わたしの日本語クラスには才女ばっかりが集まりました。
才女っていう意味は、彼女たちは、他の科目でも学年で上位にくるレベルということです。
そんな才女6人と1つ年上のおちゃらけボーイがひとりというクラスでした。
あいかわらず日本語勉強する気がまったくない男子生徒
才女ばっかりなので、当然日本語授業の進み具合は早いし、彼女たちはどんどん日本語を吸収していきました。
一方、男子生徒は、、、
一学年下の日本語クラスに入り再履修するからには、前年の授業態度を反省し、心を入れ替えたんだろうなと、わたしは彼に期待していたのですが、、、
その男子生徒、去年と変わらず「おふざけモード」のまんまでした。はあ、去年と変わらず日本語を学ぶ気まったくないか、、、とわたしはあきらめかけていました。
半年してなぜだか日本語を猛勉強し始めてクラスで一番になった男子生徒
ところが、なにを思ったか。その男子生徒、半年ほどしてから、なぜだか急に日本語を猛勉強し始めました。
なん年も日本語教師をしていたわたしは正直「今からやっても遅いでしょ」と思っていたんです。ところが、その男子生徒は、あれよあれよという間に他の才女生徒たちに追いついていったのです。
学年の途中から真剣に勉強をし始めたわけですが、学年末にはクラスで一番となりました。そして、校外試験も全部合格しました。いやあ、驚きました。恐るべし男子生徒パワー。
わたしが教えていた感覚からいうと、たぶんその男子生徒は毎日3,4時間は日本語を勉強していたんじゃないかと思います。そうじゃないと、あのレベルから、才女たちを追い抜きクラスで一番にはなれなかったでしょう。
日本に留学するといってバイトを始めた男子生徒
日本語を猛勉強し始めてからしばらくすると、その男子生徒は日本へ自費留学すると言いだしました。そして、留学資金を貯めるべく、バイトを始めました。9ヵ月間日本に留学するといっていたので、かなりの留学費用が必要だったかと想像できます。
放課後も学校の休みも、バリバリ働いていました。
そして宣言したとおり、その年で高校をやめ、日本へ留学してしまいました。このとき、たぶん17歳くらいでした。
手のかかる子ほど可愛いとは本当ですね。おちゃらけ男子生徒が思春期に入り、いい方向に成長していったのを目の当たりにしました。それが自分の教えていた日本語だったっていうのは、とっても嬉しかったです。
留学後どっぷり日本にはまっていた男子生徒
その男子生徒が日本に留学していってしまった同年、わたしも産休に入り、そのまま高校の日本語教師をやめてしまいました。そんなわけで、彼とは音信不通になっていました。
数年たったころ、とある観光地で20歳になった元教え子の男子生徒とばったり出くわしたんです。積もる話を聞かせてもらうと、
- 日本の高校へ留学した当初は、日本語がまったく分からず、授業についていけなかった。
- あるとき、堪忍袋の緒が切れて、授業中に星一徹ごとく学校の机をひっくり返した。
- そこから吹っ切れて、いまじゃあ、日本のマンガの本も読んでます。
- 日本人の彼女もできました。(会話は日本語)
留学後数年経って再会した男子生徒は、どっぷり日本にはまっていました。
こういうのを、教師冥利に尽きるというのでしょうね。