こんにちは。思春期反抗期の息子2人の母、あどぽうずでございます。
ニュージーランドでは、1月末から新学期が始まり、うちの長男もとうとう高校最終学年3年生となりました。
日本の感覚でいうと、高校卒業の進路は?就職?大学?専門学校?と、高校3年という時期は、子供にとっても、親にとっても大事な学年ですよね。しかし、なんとこの国、ニュージーランドでは、高校3年生が一番勉強しないんです。
新年度が始まる前に、長男に言ったんですよ。
高校最後の学年だから、しっかり勉強しなよ!
そしたら長男の返事は、
高校3年は、遊びの年だよ。高3はだれも勉強しねーよ。
と言って、新年度そうそうプレステ4を持って、高校寮に帰っていきました…
たしかにニュージーランドには、日本のように高校受験も、大学受験もありません。でも、高校3年生が勉強しない理由はそれだけではありません。
ニュージーランド在住20年、元ニュージーランド公立高校の教師だったわたしが、ニュージーランドの高校3年生が、勉強しない理由を7つお話していきたいと思います。
夏休み中に郵送されてきた高校2年生の長男の試験結果に激怒する!
ニュージーランドの高校3年生が、勉強しない理由を7つお話する前に、ちょっと愚痴らせてください…
日本でいうと高校2年生だった長男が、去年の11月に全国一斉試験を受けました。ニュージーランドでは、高校1年生から3年生が《NCEA》という校外共通試験を受けます。
その試験結果が、夏休み期間中、今年の1月中旬に、郵送で送られてきました。いくら大学受験がないニュージーランドだからって、まだ高校2年生だからって、それはもう悲惨な結果でした。長男は5科目受ける予定でしたが、、、試験結果は、、、
- 1科目ー試験に行かなかった
- 2科目ー試験に行ったものの、白紙で提出
- 1科目ー試験に行き、回答したもの不合格
- 1科目ー試験を受け、「*Merit」(良)をもらう
*「Merit」は日本でいう「優・良・可」の「良」にあたります。
つまり、合格したのは1科目です!全力を尽くして不合格っていうのじゃありません。もうやる気なし!「高校卒業後は大学に行く」とほざいている長男に、わたしがどっかーんと雷を落としたのは言うまでもありません。
では、本題のニュージーランドの高校3年生が勉強しない理由をお話していきましょう。
ニュージーランドの高校3年生が勉強しない理由7つ
わたしが考える「ニュージーランドの高校3年生が勉強しない理由7つ」がこちらです。
- 理由①:ニュージーランドには受験がない
- 理由②:大学願書提出時にはまだ高校3年生の成績結果が出ていない
- 理由③:親も「3年になったら遊んでいいから高校2年生でしっかり単位を取れ」とアドバイスする
- 理由④:高校3年生は自動車免許が取れる年頃
- 理由⑤:18歳の高校3年生はお酒が法的に買える
- 理由⑥:ラグビーの時期が終わると卒業を待たずに学校をやめていく高校3年生もいる
- 理由⑦:高給取りのトレードマンの見習いになる
では、ひとつずつ詳しく理由を見ていきましょう。
理由①:ニュージーランドには大学受験がない
冒頭からお話しているように、ニュージーランドには受験というものがありません。受験大国に住む日本人のみなさんから見たら、ビックリする制度ではないでしょうか。
反対に、わたしが「幼稚園受験」とか「偏差値」の話をニュージーランド人にしても、みんなポッカ―ン「なんのこと?」と理解に苦しんでいます。
ニュージーランドには、日本でいう受験っていう概念がないんですね。大学受験もありません。日本では高校3年の年度末に受けるはずの、大学受験がニュージーランドにはないんです。大学受験もないのに、ニュージーランドの高校生3年生は勉強なんかしません。
理由②:大学願書提出時にはまだ高校3年生の成績結果が出ていない
ニュージーランドには大学受験がないからといって、だれにでも大学の入学許可がおりるわけではありません。最終的には、高校3年生の成績を大学側に提出して、入学許可をもらうことになります。
しかしですね、ニュージーランドでは、大学の願書提出時までに、高校3年生の成績が出そろいません!
最終的には大学入学許可がおりるのは高校3年生の成績次第
誤解のないようにつけ加えますが、最終的に大学入学許可がおりるのは高校3年生の成績次第です。 だから、本当は高校3年生で勉強しないでいいという理由にはならないんですけどね…
うちの長男が大学に願書を出す場合の時系列を見てみます。
大学の願書提出開始
*願書提出4週間後くらいに、大学から仮入学許可がおりる
高校3年生の校内外の最終成績結果が出る
大学側に高校3年生の最終成績を報告
高校3年生の必要単位が取れていれば、無事に大学入学
理由③:親も「3年になったら遊んでいいから高校2年生でしっかり単位を取れ」とアドバイスする
大学の願書提出時までに、高校3年生の成績結果が出ないとお話しました。そこで、ニュージーランドの教育ママたちが高校生の子供たちにするアドバイスが、こちらです。
「3年になったら遊んでいいから、高校2年生でしっかり単位を取れ」
大学に行きたいニュージーランドの高校生にとって、勝負の年は高校2年生なんですね。
もちろん、わたしも去年長男が高校2年生になったときに、しっかり勉強しろとアドバイスをしましたよ。それがお話したように、ヒドイ試験結果だったので、わたしが長男に激怒したのを理解していただけるかと思います。
高校2年生が勝負の年になる理由①:勉強がいきなり難しくなる
根拠のない話なのですが、ニュージーランドの親も高校生も、「高校2年生の単位が取れれば、きっと高校3年生レベルも大丈夫だろう」と思っているふしがあります。
長男や高校を卒業した姪などに聞くと、
- 高校2年生の勉強は、本当に難しい!!
- 高校1年生のときの授業内容と比べて、高校2年でいきなり授業が難しくなる!!
と言っていました。
学校にもよりますが、高校2年では学校の授業についていけず、勉強をあきらめてしまう生徒も多いです。なので、高校2年生の授業についていけたなら、高校3年生も大丈夫だろうと思うわけです。
高校2年生が勝負の年になる理由②:優秀な高校2年生は3年生の単位も習得できる
高校2年生が勝負の年になるもう一つの理由が、優秀な高校2年生は、2年生のうちに高校3年生レベルの単位も習得できてしまうということです。
ニュージーランドの教育システムでは、高校2年生で、高校3年生レベルの単位を前倒しで取れてしまうのです。
わが家の長男もラッキーなことに去年高校2年生のとき、高校3年生レベルを8単位取ることができました。ということは、今年高校3年生になった長男は、プラス8単位からスタートできることにるわけです。
優秀なギフテッド生徒だと、高校2年生のうちに3年生レベルの全単位を取得してしまい、高校3年生になったら奨学金のための勉強をする生徒もいます。
息子の友達のひとりは、高校2年生で奨学金レベルの勉強も終えてしまい、高校3年生にならずに大学に入学してしまいました。
理由④:高校3年生は自動車免許が取れる年頃
上記でお話したニュージーランドの高校3年生が勉強しない理由の3つは、教育システムに基づくことです。
理由の4つ目のは、ニュージーランドの高校生は自動車免許が取れてしまうお年頃なんです。早いと高校1年生で仮免許が取れ、高校3年生になるころには、本免許を取ってしまう生徒もいます。
いままでは、どこに行くにも親に送り迎えしてもらっていた高校生が、自分でどこへでも運転していけてしまうわけですから、遊ばないわけにはいきません。
本免許を持っていれば、法的にどんな乗客でも乗せられるわけです。高校3年生になった長男も、友達の車に便乗して遊びに出かけています。
理由⑤:18歳の高校3年生はお酒が法的に買える
ニュージーランドでは、18歳になると法的にお酒が買えます。ニュージーランドの高校3年生の中には、18歳になる子もいるわけです。
車は乗れる、お酒は買える、受験はないで、ニュージーランドの高校3年生が遊ばない理由のほうが見つかりません。
こちらの記事「ニュージーランド未成年者飲酒事情|親が子供の誕生日会をしたくない理由とは 」で、ニュージーランドの高校生の飲酒事情を詳しく書いていますので、ご興味のある方はどうぞ!
理由⑥:ラグビーの時期が終わると卒業を待たずに学校をやめていく高校3年生もいる
これは、ラグビー王国ニュージーランドならではの現象ですね。
高校ラグビーをしている高校生は、3年生の秋冬のトーナメント時期までラグビーを続けます。大学受験もないので、引退時期は高校3年生です。4月頃から、各グレードで学校対抗の総当たり戦が始まります。敗退した高校のラグビーシーズンはそこで終わります。トップリーグの全国決勝でも、9月頃には終わってしまいます。
ニュージーランドでは、ラグビーのためだけに3年生まで高校に在籍していた生徒のなかには、ラグビーシーズンが終わるとNCEA試験や卒業を待たずに、学校をやめていく子もいるのです。
理由⑦:高給取りのトレードマンの見習いになる
みなさん、ニュージーランドでトレードマン(Trademan)といったら、どんな職業か分かりますか。
- Builder(大工)
- Plumber(配管工)
- Electricial(電気技師)
- Painter(ペンキ屋)
- Tiler(タイル職人)
- Roofing(屋根ふき)
- Fencing(柵作り)など
いわゆる職人仕事のことです。
ニュージーランドでは、トレードマン仕事は需要も高く、かつ高給取りです。
うちで、電気技師や配管工の人を頼むと、請求書に書かれた彼らの時給は60-70ニュージーランドドルくらいです。日本円で時給4,000-5,000円です。
経験を積む必要のある職人系の仕事なので、トレードマン見習いとして16,7歳くらいの高校生を雇う会社も多いです。トレードマンという職業は、10代のうちにしっかりと仕事を学べば、20代には独立してビジネスオーナーになれてしまう、とくに、男子高校生にとっては花形の職業なのです。
大学や専門学校に行く気がない高校生3年生、特に男子が、上記の理由⑥であげたように、ラグビーシーズンが終わると、さっさと学校をやめて、トレードマン見習いになってしまうというケースは、よくきく話です。
いかがでしたでしょうか。以上、ニュージーランドの高校3年生が勉強しない理由7つをお話しました。日本の大学受験を控えた高校3年生のみなさんとは、まったく違う過ごし方をしていますよね。
うちの長男もいまのところ「大学に行きたい!」と言っています。「だったら、もっと勉強しろー!」って言い続けているのですが、夫もわたしも、息子たちが大学に行っても行かなくてもどっちでもいいと思っています。
- 大学でも高校でも学業を終えたら、
- 経済的に自立して、
- わたしたち親に頼らず、
- 家庭をもったらしっかり養える
そんな大人になってもらいたいと思っています。