ニュージーランド在住20年のあどぼうずです。
前回のお話「息子がニュージーランドの学校でいじめにあったときの話」の続きです。
息子がいじめられていることが分かったときは、ショック、怒り、悲しみもろもろの感情が入り混じって、ぐちゃぐちゃない気持ちになりました。
でも、息子と一緒に落ち込んではいられません。親として、すぐに学校に報告しました。
今回は、息子がいじめにあったときに、わたしがどうやって学校に報告し対処していったかをお話ししていきます。
親元を離れ、ひとりでニュージーランドに留学するみなさんには、本当にいじめなんかにあってほしくありません。でも、もしもの時に備えて参考までに、お読みいただければ嬉しいです。
ニュージーランドでいじめにあったときにだれに報告するのか?
まず、ニュージーランドの学校でいじめにあった場合、誰に報告すればいいのでしょうか。以前、お子さんがいじめにあっていたママ友から、いじめの報告のプロセスを教えてもらいました。
以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。
STEP1:担任の先生に報告
まずは、子供の担任の先生に報告します。ニュージーランドの小学校も日本と同じように、担任の先生がほぼ全教科教えるので、一番クラスの生徒たちの人間関係が分かっているはずです。高校でも、教科を教えてはいなくても、担任の先生がいます。
STEP2:校長先生に報告
ニュージーランドの学校で、担任の先生だけでは、いじめが解決できない、対応が不満という場合、次に報告する相手は学校の校長先生です。
大きな学校の場合、学年主任のような立場の先生がいることがあります。そういう場合は、学年主任の先生に伝えてもよいでしょう。
校長先生や学年主任は忙しい立場の人たちなので、いじめの報告は取り急ぎメールでしたほうがよいです。
STEP3: 学校理事会(Board and Trustee)に報告
ニュージーランドでは、たいていのいじめは、校長先生や学年主任で解決するはずです。解決という意味は、校長先生が、いじめた生徒たちに罰則を与えるということです。
しかし、それでもいじめが続いて解決しないとなった場合は、学校理事会(Board and Trustee)に報告します。
ニュージーランドの学校には、Board and Trustee(BOT)という学校理事会があります。選挙で選ばれた保護者の代表、教師代表で構成されています。
ニュージーランドの学校では、この 学校理事会の権限が大きいです。日本の学校のPTAとは違います。 学校理事会の持つ主な権限とは、以下のようなものです。
- 学校の予算を決める
- 教師(校長も含む)の採用決定
- 生徒の処罰 など
STEP4: ニュージーランド教育省に報告
いじめられている側の立場として、もう学校の理事会の対応にも満足できないとなった場合は、ニュージーランドの教育省に報告します。
保護者が子供のいじめを教育省に報告するというのは、かなりの大ごとです。学校側がどうしようもなく怠惰で、きちんといじめ問題に対応していないということになります。
うちの息子のいじめは、教育省に報告する前に終わりました。
わたしが息子のいじめに関してしたこと
では、息子のいじめに関してわたしがしたことを、お話していきます。
① 校長先生に口頭でいじめ報告
「息子がニュージーランドの学校でいじめにあったときの話」でお話したように、息子のいじめは、わたしが放課後に学校に息子を迎えに行ったときの車の中で分かりました。わたしは車を降りて、そのまま校長先生に会いに行き、口頭で息子のいじめ事情を話しました。
上記で紹介したように、本来なら、まずは担任の先生に報告します。それをわたしはしませんでした。小さい学校だから、いきなり校長先生に会えたのだと思います。
② 担任と校長先生にいじめ報告のメールを送る
校長先生に口頭で息子のいじめを報告したあと、その週末に担任の先生と改めて校長先生に、いじめ報告のメールを送りました。
③ 校長先生と担任に口頭またはメールでいじめ対応の確認
1週間しても、担任からも校長先生からも連絡がないので、わたしのほうから担任の先生と校長先生に連絡を取りました。担任や校長先生が息子のいじめにどうやって対応しているのか、知りたかったからです。
担任に聞いてみると「校長先生が対応しているから」との返事をもらいました。
校長先生がしたことといえば、息子をいじめた子を校長室に呼んで口頭注意をしただけでした。それでも、息子へのいじめは止まりませんでした。
④ 学校理事会長にいじめ報告のメールを送る
担任の先生と校長先生のいじめの対応に満足いかなかったわたしは、学校理事会長にいじめ報告のメールを送りました。翌日すぐに、学校理事会の委員長からメールで返事がきました。
返事の内容は、
- 息子さんのいじめには同情します
- どんな形のいじめでも、いじめはよくないです
- 学校理事会としても、いじめに対応していきます
と、なんだか定型書式のあるメールに、子供の名前だけ入れ替えて書いたような内容でした。
息子がうけているいじめは、たいしたことないんでしょう。息子の通っている学校では、もっと大ごとにならなければ、いじめっ子に対する処分はないのだと思いました。
⑤ 他の親に相談する
息子がいじめられていることを、息子のクラブ活動のチームメイトの親などに、相談しました。子供が過去にいじめにあっていた保護者の人から、いじめ対処のアドバイスをもらえることができました。そういう人たちに共感してもらって、わたしも精神的に少し楽になりました。
⑥ 学校外の仲のいい友達と息子を会わせる
息子のいじめは、学校のクラス内だけでした。息子は校外のクラブ活動にいけば、気の合ったチームメイトにも会えます。幼馴染の仲のよい子を、家にお泊りによんだりもしました。
友達関係に自信を無くしている息子に「他にもいっぱい、いい友達がいるんだよ」ということを思い出してもらうためでした。
⑦ 息子が悪いのでなく、いじめっ子が悪いんだということを繰り返し言い聞かせる
毎日毎日、言葉の暴力をうけていた息子は、精神的に疲れしまい、自分に自信を持てなくなってきました。そんな息子に、いじめる側が悪いんだということを、なんども言い聞かせました。
⑧ 学校を替えるか検討
学校とやりとりしているのと同時進行で、学校を替えることも検討しました。でも、むすこは学校は替わらなくていいという意見でした。学年末まで残り2ヵ月ほどですし、新しい学校に慣れる労力を考えれば、このまま我慢するということでした。
その後の経過
その後の経過を、お話します。
小学校生活残り2カ月
息子のいじめが発覚してから年度末まで、残り2ヵ月ほどでした。くわえて、息子は地元を離れ知っている子がひとりもいない高校寮に入ることが決まっていました。いじめられっ子ともおさらばで、同じ高校に行きません。
新しく通う高校でいじめられないとは限りません。でも、地元を離れて、新しい環境に入るほうが、結果的に息子にとってよい選択でした。
いじめっ子のうちひとりが息子に謝ってくれた
学年末も終わりに近づいたころ、いじめっ子のひとりが息子に謝ってくれました。「どうせ違う学校に行くから、もういいよ」と親子ともども思っていたので、これは思いがけないボーナスでした。
息子に対してのいじめは解決したというより、時期的に運よく学校が変わったということで終わりになりました。
もし、新しい学校でいじめにあいそうになったとき、息子が今回のいじめの経験を生かしてうまくいじめを回避してくれるといいなと思っています。
次回は、「息子がニュージーランドの学校でいじめにあったとき|学校あてに書いた英文メールを公開【コピペOK】」です。