こんにちは、ニュージーランド在住のあどぽうずです。
2020年6月8日に、ニュージーランドはコロナ感染者がゼロになりました。
LINEでつながっている大学時代の友人が、BBCニュースJapanのサイトから、ニュージーランドのコロナ感染者がゼロになったというニュース記事をシェアしてくれました。わたしは英語のニュースでは読んだのですが、日本語訳したのは読んでいませんでした。
ニュージーランド国民にとって、とても嬉しいニュースなのです。なのですが、大学時代の友人とのLINEグループの中では、ニュージーランドの「アーダーン首相は踊ったのか」ということが論点になってしまいました。
はー、英語を翻訳するのって難しいなと実感したお話です。
変な翻訳
大学時代の友人のひとりが、BBCニュースJapanの『ニュージーランド、新型ウイルス感染者ゼロに 国内制限を解除』という記事をLINEグループにシェアしてくれました。
すると、オーストラリアに住む英語ユーザの友人が、
8日の閣議後に記者会見したジャシンダ・アーダーン首相は、国内に新型ウイルスの感染者がいなくなったと報告を受けたとき、「少し踊ってしまった」と話した。
BBCニュースJapanの『ニュージーランド、新型ウイルス感染者ゼロに 国内制限を解除』
という一文の「少し踊ってしまった」という翻訳が変だと指摘してきました。
英語にたしなみのある教員免許保持者のLINEグループ
ちなみに、大学時代の友人7人で作っているLINEグループなのですが、全員教育系大学を卒業していて、全員中学高校の国語教諭免許の資格保持者です。現役教師もいます。そして、なぜだかみんな英語にたしなみがある女子ばかりです。
なにが言いたいのかと言いますと、みんな「言葉に敏感」ということです。特にオーストラリアに住んでいる友人は日本語も英語も使いこなす才女なので、この「少し踊ってしまった」が気になってしまったようです。友人は、アーダーン首相が本当に踊ったとは思っていませんでした。
英語の「I did a littel dance」の訳し方
彼女の言い分は、アーダーン首相が会見で英語で言った「I did a little dance」は本当に踊ったわけじゃなくて、コロナ感染者がゼロになったことを受けて、嬉しさのあまり小躍りした。踊りを踊ったわけじゃないということです。
友人いわく、
英語でdanceっていっても、日本語で「踊る」じゃないんだよ。ぴょんぴょん跳ねるみたいな感じで、わーい!やった!って跳ねちゃったって意味でのdanceでしょ?
うーん、言われてみれば、英語の「I did a littel dance」を日本語で「少し踊ってしまった」と訳すのは直訳過ぎるし、コロナ感染者がゼロになった喜びを現せていないような気がします。さすが、日本語英語共に堪能なわが友の指摘です。
danceという英語
danceという英語を、いつもお世話になっているオンライン英語辞書「アルクの英辞郎」で調べてみました。
- ダンスする、舞う、踊る
- 〔興奮して〕飛び跳ねる
わたしの友人がいうように、英語のdanceには「わーい!嬉しー!やったー!」という②の意味もありますね。
それともアーダーン首相は沖縄踊りみたいなのを踊ったのか
さらに、友人がつっこみます。アーダーン首相は沖縄踊りみたいなのを踊ったのか。といって、上の「ハイサイ!島んちゅ」のYoutubeの動画を送ってくれました。
沖縄県出身の友人が、沖縄県民は嬉しさに胸がいっぱいになると、無言でハイサーを踊るって以前言っていたのですが、本当でしょうか。
アーダーン首相は踊ったんです
さて、danceという英語には、
- ダンスする、舞う、踊る
- 〔興奮して〕飛び跳ねる
と2つの意味があるということが分かりました。コロナ感染者がゼロになった報告を受けて、アーダーン首相は①と②の両方の意味のdanceをしたんですね。
記者会見の席で、レポーターにコロナ感染者がゼロになったと報告を受けたときの反応を聞かれ、
「I did a littel dance」
と答えました。そのあとに、以下のように答えています。
I showed [my daughter] Neve, she was caught a little by surprise but she joined in, having absolutely no idea why I was dancing around the lounge but enjoying it nonetheless”.
Neve(娘さんの名前)に、私が居間で踊ってるところを見せたら、ちょっと驚いていたわ。私がなんで踊ってるのかまったく分からないって顔していたけど、Nevaも一緒に楽しんで踊ったのよ。
アーダーン首相
アーダーン首相、嬉しくて本当に踊ってしまったんですね。
アーダーン首相ダンスのコラ動画がyoutubeにアップされる
ニュージーランドのコロナ撲滅宣言の会見で、アーダーン首相が言った英語「I did a littel dance」をうけて、youtubeには、さっそくアーダーン首相のダンスコラ動画がアップされました。2日間で40万回以上も視聴されています。
どなたが作ったのかは分かりませんが、きっとニュージーランド国民だと思います。
動画の最後に登場する秘書役の人
動画の最後に登場する秘書役の人は、ニュージーランドコロナ撲滅の立役者、国民のヒーロー、厚生省局長のドクター・ブルームフィールドさんです。ニュージーランドのお茶の間の人気者、厚生省局長については、『【コロナウイルス対策】ニュージーランドが厳しいロックダウンを可能にしている15の理由』の12番目の理由に詳しく書いてあります。よろしければ、お読みください。
英語一文だけ理解しようとしても全貌はつかめない
英語一文だけ見ても全貌はつかめないということがお分かりいただけたでしょうか。個人的にはアーダーン首相は「ラ・ラ・ラ・ランド」的なダンスをしてたんじゃないかなぁと勝手にワクワク想像しています。
英語一文「I did a littel dance」
BBCの英語ニュースを日本語へ翻訳した方は、
- I did a little dance
この英語の一文だけを翻訳したのだと考えられるでしょう。
英語一文「I did a littel dance」とコロナ感染者がゼロ
オーストラリアに住む友人は、
- 英語の一文「I did a littel dance」
- ニュージーランドのコロナ感染者がゼロになった
という2点から、アーダーン首相はまじで踊ったんじゃなくて、嬉しくて小躍りしたんだろと想像しました。
英語の一文「I did a littel dance」の背景
ニュージーランドに住んでいるわたしは、
- コロナ撲滅会見を全部見た
- 日ごろアーダーン首相が国民に見せる顔を知っている
など、英語の一文「I did a littel dance」の背景を知っていました。
なんだか、わたしが一番エラそうな書き方になってしまいましたが、これは英語を理解するときのほんの一例です。
- 英語の文だけ見て訳すのか
- 与えられた他の情報も加味して英語を訳すのか
- 背景にある文化や習慣も理解して英語文を訳すのか
英語を日本語に訳すっていうのは、いろいろ奥が深いものですね。